木彫教室[第66回]-ガウジカット-

ガウジカット

 最もシンプルなカットの形は以下の形をしています。このような逆ドーム型の溝は”フルート”という名前で呼ばれています。

 この加工は、ひとつのガウジだけで加工します。もちろん、フルートを掘るための専用電動ルーターというものも存在します。しかし、こういう単純な形状こそ、自己の技術を推し量る上で、目安となる偽りのない基準を与えてくれますので、手道具で製作し、時折自分で作品を見返し、技術のフィードバックを得ることは、きれいな作品を作る以上に重要な示唆を与えてくれこともあります。

 パワーツールで制作することは悪いこととは思いません。しかし、パワーツールでは”きれいにしか”できないし、毎回同じように”しか”できないということです。

 失敗は損失になるので、ビジネスの場での「失敗」は非常に嫌われます。しかし、失敗しない限り、成長も絶対にあり得ないことは、おそらく説明するまでもなく誰でも知っていることです。今、私たちはこの講座でビジネスを学んでいるのでしょうか?違いますよね?

 フルートの作り方を詳しく説明します。まずガウジで以下の図のように下側に向き加工をしましょう。(下図左側矢印、上からのスタブカット)

 続いて、丸い形状の先からガウジを操作して、さきほどのスタブしたカットラインまで切削します(図右側からのカット)
 ツールにわずかながらスロープの角度がついていることに気をつけてください。

 表面がこのように加工できていることは簡単に確認できますが、垂直のカット面やアンダーカット面はエッジが薄い(切削面が狭い)ので簡単に確認することはできません。

 切削面を確認方法は、当然目視で確認することもできますが、指で触りデコボコになっていないことを確認するという方法もかなり有効です。

 ライムウッド(シナ)やパイン(松)のようにソフトウッドの場合、垂直方向のカット(スタブカット)は手による圧力や、手のひらで叩く動作だけで行うことができます。

 しかし、堅い木の場合は、マレットで打ちつける必要があります。
 ガウジは必要とされる長さ離したところから、木に斜めに差込みます。
 そして両側の平行線ができるように、理想的にはほとんど一回の切削で加工します。

 慣れないうちは、1回目の切削で中央、2,3回目の切削で左右の線に沿って切削を進めることもできます。

 しかし、カットはチゼルやガウジでセットしたら、できるだけ1回のカット動作で完結するように努力してみてください。切削するスピードは自ずと、ある速度以上にはできないことがわかると思います。

 うまくいけば、ワークに対して本質的な新鮮さをもたらすことに成功できる、一方で、期待どおりに行かない場合は、大きな切りくずを先に取り除き、きれいなカットを仕上げになるよう、残りの箇所に神経を使いましょう。

 このように一直線に並んだガウジカットの場合、下方向へのスタブカットを先に行うことが一般的に推奨されます。

 これには2つの理由があります。

 1つ目は、これらのカットはツールでエッジをたてることにより、木屑をすばやく取り除くのに役立つことです。したがって、いつでもワークにおいてはこの作業を先に行うのが良いことなのです。

 より正確なチップ除去のパーティングができるように、常にツールは鋭利に砥いで、きれいにしておくようにします。

 さらに、重要な事実は、ダウンカットは刃物の切削点のシノギ面の形の影響により、木目を壊しやすいということです。
 この現象は隣接チップが取り除かれた後に、木目が短くなることで木が脆く、壊れやすくなる現象として現れます。この現象は次の図で説明します。

 この事実は、このような作業をするときに、常に心に留めておいて損のない情報です。

 ガウジが木に挿入される際の角度を維持し、切削面のサイドが平行にならないようにカット加工することもあります。この例を以下に示します。

 これは、効果的である場合もあります。
 しかし、一般的には平行な加工が望ましいといわれています。

 その他の例では、フルート加工でリードの形をつけて加工する加工法があります。下図はその例です。

 リードとは、笛などで息を吹き入れる口のことです。
 この加工をするには、2回のダウンスタブ(真下に向けたセットイン)を行い、底は浅く加工します。
次に、トップフルート形状を普通の作業方法で形成し、最後にリードを丸くして終了です。チゼルか平たいガウジがこの加工に用いられます。

 この種の他の加工バリエーションは下図になります。
(中央の三日月状のパターンとその下)

 このデコレーションフォームは丸い溝を先に作り、ガウジによる仕上げを次ぎに行う手順で、非常に効果的な印象を与えることに成功しています。

 この例では、ガウジカットの方向は、一回ごとに反対に加工しています。
 メインになるガウジのポケットは、小さなカットで、同じようにつくるのですが、少し小さなガウジで加工します。

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