木彫教室[第53回]-作画のトレーニング(スケッチブック)-

作画のトレーニング(スケッチブック)

 彫刻作品を作る上で、最初のステップは作画になります。どのようなデザインの作品を作成するか、様々な想像を巡らせ、自分が表現したい作品はどういうものかを想像する時間は楽しいものです。

 以下では作画(デザイン)についての話題になります。

 どのような作画をするにしても、まずは能力を開発するためのトレ-ニングが必要になりそうです。特別のトレーニングなしで作画ができる人もいるかも知れませんが、自分が能力を開発する過程を言語化するという作業は、自分が歩んで来たプロセスを理解する上でも、きっと役にたつことでしょう。

 作画の能力向上のトレーニングで、最初のアドバイスはスケッチブックを常に携帯するということです。

 あなたが興味を持つ対象で、そのスケッチブックを埋めていきます。

 彫刻作品でなくても構いません。

 私たちが住んでいる時代の美を代表するものを対象として描くことです。

 これが重要です。

 自然科学の道具でも構いません。

 細部を製作するのに役立つ、すべてのすばらしい形は、かけがえのないものです。

 スポーツの活動や、動物や植物の動きの線を表現しようと試みてください。

 このようにして、あなたのスケッチブックの資料を増やしていきます。

 衣装は記録しておくとよい、非常に役に立つ題材のひとつです。

 特に、今日の日常生活上の活動に関係してる場合、特に興味深い題材になります。

 たとえば、モーターバイクに乗る人のツナギの衣装とか、手術室に入ろうとする外科医の衣装とかなどです。

 私は最近、紋章の仕事で飛行操縦士の彫刻をしました。
 そのとき、同じ目的で、クロコダイルの彫刻も一緒にするように頼まれたのです。

 題材はあなたのスケッチブックに蓄えられていきますが、この作業に終わりはありません。

 しかし、あなたが見たいときに、見れなくてはなりません。

 私は、若い生徒たちの提出したスケッチブックを、テストの採点のためよく見るのですが、彼らがどのような学習分野に興味を持っているのか、そして多くの場合、観察の深さの度合いを推し量ることができます。

 そこには、博物館や教会に大量の置いてある、伝統的な仕事があります。

 スケッチは、えんぴつで描きます。

 対象を分析して、その部分箇所の詳細図も描きとります。

 その対象が置かれていた箇所と仕上げ加工もメモとして残します。

 スケッチ対象がギルト(金箔を貼ったもの)の場合、あとの章で説明する、「光」で対象をよく調べます。

 それが、バーニッシュ(光沢)があるか、それとも艶消し(matt)であるかを調べます。

 グランドが、ジェッソー(GESSO)であるか、絵の具で描かれたものか?

 ジョージアン時代のテーブルのように、Gessoがたくさん使われているか?
 Gessoに彫刻されているか?
 のちの参照のために、いつこのスケッチが描かれたか、日付を残します。

 このような情報もすべてスケッチブックに残していきます。

 すべてのスケッチがデザインと彫刻作業の役にたつ、「良い」ものである必要はありません。それが、目的ではありません。

 このスケッチをし続けるトレーニングの目的は、あなたの好奇心を刺激することです。あなたの観察能力をトレーニングすることです。
 そして、それをエンピツであなた自身が自由に表現することです。

 このトレーニングを通して、あなたのスケッチブックは豊富な情報源となることでしょう。

 そして、それは伝統的な流儀のデザインであろうと、個人的なデザインであろうと、何かをデザインをするときの大きな助けになることでしょう。

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