木彫教室[第13回]-ストロープ(Strops)-

ストロープ(Strops)

 ツールを砥石に当ててこするだけでは、鋭利な刃先を得ることはできません。研いだあと、良く切れる刃先を得るためには、バリ(burr)を取り除かなくてはなりません。

 ストロープは主にその目的で必要とされます。

Leather Strop Pack

ストロープパック(5枚)

 このセットには4-1/2″x1-1/2″のストロープ5枚と、4″x5″のストロープが1枚含まれます。各ストロープはストローピング用のブロックに張り付けて使用することができます。各ストロープの厚さは1/8″です。ブロックに貼り付けることにより、小さなツールの場合はピッタリの形状に成形したり、大きなツールの場合は手で持ってのストローピングがやりやすくなります。ベリタスホーニングコンパウンドとの相性がもっとも良いです。
 すべて野菜タンニンなめし革(vegetable-tanned leather)です。

 ”なめし”とは、野菜に含まれるタンニンを使い、皮に含まれる油脂やタンパク質を分解し、皮を柔らかくすることです。古代より、人間が行ってきた”なめし”とは、自分の唾を皮につけて柔らかくする方法でした。

 このなめし作業を行うことで、”皮”は”革”と呼ばれる製品に変化します。

 近年では安価なクロムを使った”クロムなめし”が広まりましたが、現在では環境面の配慮から、タンニンなめしが見直されています。

Flexcut® Carver’s Strop

 彫刻をしながら、ツールエッジの切れ味を維持するのに、便利なツールです。コンパウンドを使いながら、複数のプロファイル(1/16、1/8″、1/4″および1/2″半径;45°および70°角度)を磨くと、ガウジまたはVツールの内側の面を素早く磨くことができます。革のスロップはベベルエッジ(彫刻刀の外側、いわゆるシノギ面を彫刻ナイフと同様に)を磨くために使用します。

 非常にコンパクトで、約4インチ×3 1/2″で、11/2オンスのホーニングコンパウンドのバーが付属しています。

Sharpening Carving Tools with the Flexcut SlipStrop

 彫刻作業中にツールの刃先を研ぐには、このストロップ(Strop)を使うのが最も簡便で便利な方法です。

 日本における木工作業とは異なり、西洋に由来するツール類は業中、ツールの刃は頻繁に研がれます。一方、日本における木工作業中は、作業中にツールの刃を研ぐということはほとんど行いません。日本における作業は、朝から作業をし、夕方一日の作業が終了すると、使った工具類の刃を研ぎ、明日の作業に備えます。西洋に由来するツールの場合は、そういうことはなく、切れなくなったら、すぐにその場で研ぎ始めます。

 逆に言えば、研ぎ奈良が作業を行うわけですから、手軽に研ぐことができなければならないわけです。それが研ぐ道具に対する性能要求になります。

Veritas Honing Compound

 開発に2年以上の歳月がかかったこのホーニング用の化合物は市場で出回っているホーニング製品の中で、非常に高い性能を誇ります。

 クロムと酸化アルミニウムの両方をブレンドして、切断速度と細かい仕上げの最高の組み合わせを提供しています。ボンディング(接着)は、塗布の容易さを実現する理想的な配合です。フェルト、革または木に非常によく付着します。

 小さくカットすることができます。このコンパウンドを使用したことによる刃先の仕上がり精度は、0.5ミクロン、あるいは0.00002インチ以下です。彫刻ツールとしっかりしたガウジに最適で、ほぼすべてのツールの最終ホーニングに使用することができます。パワーホーニング用のフェルトホイールまたはレザーベルト、または手磨き用の革のストロップで使用することができます。

Honing Gouges(ガウジを研ぐということ)

 刃先が平らな面であるチゼル(ヒラノミ)類の刃先を研ぐことは、湾曲したガウジを研ぐより、遙かに簡単です。なぜなら、研磨面の形にシノギ面が(両方とも平らであるので)ピッタリ合うからです。

 しかし、刃先が湾曲したガウジの場合、真っ平らな研ぎ面を有する砥石では、なかなか研ぐことは難しいものです。(決して研げないとは申しませんが)

 湾曲したガウジを研ぐには、湾曲した砥石、あるいは円筒形や円錐形をした砥石を使うのが理にかなっています。

 たとえば、革に巻かれたダボ材などを使用すれば、比較的簡単に内側のエッジに、研磨面を密着させることができます。

 刃先が丸い形状のガウジを研磨するということは、すなわち、ガウジの外側の形状とピッタリ同じ形状をコンパウンドで実現するにはどうすれば良いか?という問題を解決するのこととまったく同義です。

 ガウジの外側の形状とピッタリ同じ形状は、そのガウジ自身によって加工された堀跡で実現することができます。

 以下では、研磨用のこのような治具を、どのようにして作るかを解説します。

  1. まず、木目のまっすぐに通った、節の無い木片を選びます。
  2. 次に、研磨するガウジで木片に溝を掘ります。このとき、ガウジ全体が、木の表面から隠れるくらいの深さになるまで掘り進めます。溝の横断面は、刃先から見えるガウジの刃先曲線と、正確に一致しなければなりません。
  3. コンパウンドを溝に塗り、ガウジを溝面に押さえつけ、溝に沿ってガウジを”うしろ方向”に何回かこすります。刃先が鏡のように輝いてきたら終わりです。
  4. このとき、内側の研ぎが終わっていたら、カミソリのような切れ味のツールが出来上がっていることでしょう。

 コツは必ず刃から離れる方向にだけ動かすということです。自分の方に引いた動き(刃先からシノギ面への方向)をしてはいけません。

ストロープとは

 ストロープは柔らかく、しなやかであれば、どのような革でも使うことができます。ストロープで磨いた後、クロッカスパウダーとロシアンタロー(Russian tallow)で仕上げの研磨を行います。

クロッカスパウダー

 ロシアンタローはタロー(Tallow)の一種です。タローは獣脂のことで、ろうそくやせっけんの材料になります。

 タローはしみをつけない木工工具の潤滑油として使われました。獣脂は昔は多くの伝統的な職人のツールキットの主たるアイテムとして考えられてきました。非常に効果的ではありますが、しばしばそれを使うクラフトマンたちが、それをみつけるのが難しいという理由で、今日ではあまり広く使われていません。

McQueen’s Mutton Tallow

 写真のMcQueen’s Mutton Tallowは1895年から使われていて、ノコギリの刃につけることにより、木の切断中に木がつながるのを防ぎます。

 また、歯に薄く塗ることにより、ツールがスムーズに動くのも助けます。
 この2つ以外にも、ほかにもいろいろ使用の可能性があります。
 木の切断後、木に残る残留物(タロー)は、ステインや、接着材の侵入を阻害するものではありません。

 したがって、タローを使っても、ステインや接着材に影響がないため、木材の切削後に塗装面に塗装をしたときなど、塗りむらなどが発生することないため、優れた潤滑剤であると言えます。

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